2 同僚のアナタ

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洋介はビールを煽ろうとして、空のグラスに気付いて元にもどした。 そしてメニューを取って、香那美に渡す。 「とりあえず何か飲んでさ、気分変えよう。いいだろ井本」 「だから私は最初からいいって言ってるじゃん。飲みなよぱーっと。今日は望月のおごりだし」 『先輩が飲まないのに自分だけ飲むなんてできない』と断ったのだが、香那美はここでくじけた。 酒に逃げるのはよくないってわかっている。 けど・・・やっぱりこんな時は酒に走ってしまう。 元々好きだし、仕方ないよね。 「じゃあ、生」 香那美はメニューも開かずに言った。 目の前で美味しそうにビールを飲む洋介が始めからうらやましかったのだ。 仕事の後のビール。 これほど美味しいもんはない。 しかも肉を食べながらウーロン茶って・・・ 普段の自分だったら絶対にありえない。 「なかなか飲めるんじゃん」 洋介は笑って、自分の分と二つビールを注文した。 目の前に来たビールでもう一度乾杯をする。 一気に飲むと香那美の気分は急上昇した。 やっぱりこれだね。 と、思いながら、会社の人の前だということを思い出す。 飲みすぎには気をつけなきゃ。 「あんた達って・・・似てるねぇ」 井本さんが香那美と洋介を交互に見て言った。
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