ムスクの香り

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「・・・・・・・・っぷぷ」 思わず笑みがこぼれる。 「な・なんだよ」 彼は照れているのか 顔を赤く染めて、 少し俯いていた。 「ふふふふふ」 大きな彼を見上げ、 抑えきれない頬笑みを向けると、 彼はそれを見て安心したのか、 バツの悪そうな顔をしている。 「大丈夫だよ、優基くんには 彼女いるんだから」 「そ・そんなの関係ねーよ」 彼の可愛い一面を見つけてしまって 嬉しくて仕方がない。 「大丈夫だって、私、 だーーーい好きなんだからさっ」 私はおどおどした彼に 思い切り抱きついた。 「お・おいっ!校内だろっ」 「そんなのもう関係ないじゃーん。 さっき廊下であんなに怒って 私のこと引っ張ってきたくせにーー!」 ぎゅうっときつく抱きつき、 頭を彼の胸元にすりよせる。 香水の匂いかな。 すーっとムスクの匂いがする。 これは彼の匂いなんだって 頭の中でインプットした。 何の香水だろう。 今度買って、 布団やら制服に ふりまかなきゃ。 もう絶対に 忘れないよ。
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