2/6
前へ
/21ページ
次へ
「松田さぁん、これね、DMの発送先リスト。チェック頼める?」  武田さんが相変わらずのにこやかな顔つきで、どさささっ、と書類を置いた。 武田さんは営業部の事務員さんで、たぶん三十代の半ばくらいの男性だ。 ちょっと痩せ型で手足が長く、ほんの少し猫背で、その感じが亨に似ている。 ツルの細い眼鏡をしていて、そのせいか、やや神経質そうに見える人だ。 「あー、えっと、作業がまだあるので午後からでいいですか?  読み合わせします?」 「や、チェックだけで結構。 漏れがないか見てくれる?」 「どこを見ればいいですか?  ああ、ここのチェックがついている人ので?」 「そうそう。終わったら持ってきてくれる?」 「わかりました」  メモをつけていると、ばたばたばたっという慌しい足音とともに中森さんが駆け込んできた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加