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「松田ちゃん、悪いけど急ぎでコピー20部ね」
「両面で、ホチキス2箇所でいいですか?」
「んーん、クリップで留めといて。出来たら会議室のBに頼むわ」
「えーと12ページ、20部で両面、クリップ止めで大至急ですね」
「そう。あ、高塚さぁん、コーヒー頼める?」
「えー、またですかぁ」
中森さんは、いつもの調子で正社員の女の子にコーヒーを頼んでいる。彼女が不満そうに言うのもいつものことだ。
「お願い。可愛い女の子が来ると場が華やぐじゃない。
頼むからさー」
「いいですけどー。もぉ、中森さんいつも調子いいんだもんなー」
「悪いね。大事なお客さんなんだわ」
「じゃあ持ってきますねー」
「頼むね。じゃあオレ先会議室に戻ってるから。よろしくッ」
来た時同様に騒がしく去って行く中森さんを横目に、コピー室まで走る。
「すいません、急ぎなので割り込み出来ますか」
「どうぞ。今度は誰の?」
「中森さんです」
「またか。あいつ、いっつもバタバタだな。
もうちょっと余裕持って予定組めばいいのに」
鳥居さんの意見には特に肯定も否定もせず、にこっと笑って済ませると、出来上がった資料を確認してクリップで留める。
「お邪魔しました」
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