4/6
前へ
/21ページ
次へ
「いえいえ。使用枚数は? つけとくよ」 「ありがとうございます。両面6枚×20部で120枚でお願いします」 「中森にあんまりこき使うなって言ってやってよ」 「でも、私にはこれも仕事ですし。じゃ、失礼します」  かるく頭を下げて部屋を出ると、背後で何かの気配がした。 きっと融通のきかない人間だと呆れているのだろう。 自分でも自覚はあるけれど、仕方がない。 とりあえずは資料を届けて、頼まれたファイリングの続きをして、リストのチェックに入ろうと思う。  資料を渡して戻ってくると、しばらくして、コーヒーを出しにいっていた高塚さんが戻ってきた。 いっつも、こんなんばっかりだよねー、なんて言いつつ、自分の入力作業に戻る。 「でも、松田さんいつもモテモテよね。いろいろ頼まれて大変じゃない?」 「そうでもないですよ。時間も決まってますし、雑用がメインの契約社員ですから」 「えー、でも、松田さん実はみんなにスーパー契約社員て呼ばれてるんですよ」 「ええ? 何ですか、それ。私べつに言われたことしかやってないですよ」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加