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 私の仕事は夕方の4時に終わるので、毎日そのあとは買い物をして掃除をして食事をつくって、影膳をそなえてから夕食にしている。 それから片付けて弁当の下ごしらえ、洗濯とアイロン、時間があればもう少し掃除をして風呂を沸かし、新聞を読みつつニュースを眺める。 風呂に入ればもう翌日の用意をして寝るだけだ。 電話をかけたり、誰かと会ったり、話をすることはほとんどない。 最近になって、何もなくたって生活はしていけることに気がついた。  たった独りでも、手段さえあれば生きて行くことはできる。 ただ、寿命が来るまでの時間を思うと途方にくれてしまう。 この生活はいつまで続くのだろう。  だって、もういないのに。  亨がいないのに。
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