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退屈な古文の授業が、もうすぐ終わろうとしていた。ただでさえ古文の先生のお経のような口調は、眠気を誘っているかのように気だるい。
12月半ばの土曜日の4時間目。今週はテストもあったから余計に疲れていた。これさえ終わればやっと休みになる。
《あと5分なのに…やたらと長く感じるな…》
窓際の席にいた高田哲也は、ふと窓の外を見下ろした。そこは白一色の原野。グラウンドとその周りに広がるはずの田んぼが、全て雪で境目なく覆われていて、一面真っ白な世界が広がっている。
俺の住むこの街は、11月の半ばから3月までこうして雪で覆われる。
遠くに目を向けると、久しぶりの晴天のおかげで正三角形の雪山が綺麗に映えている。小学生の頃はよく父親が連れて行ってくれたスキー場だ。
《懐かしいな…忙しいお父さんだけど、小学生の頃は必ず海とスキーには連れて行ってくれたな…》
今では全くウィンタースポーツなんてやらない。授業で仕方なくスキーをやるくらいだ。
《はぁ~…今日は街中でラーメンでも食べて、ちょこっとゲーセンにでも寄って帰ろうかな》
俺の思考は、これからの土曜の午後の過ごし方でいっぱいだった。
♪キーンコーンカーンコーン
終わりを告げる鐘が鳴った。古文の先生が出て行くと、入れ替わるように担任の体育の先生が入ってきた。
「え~、今週やったテストのクラス平均点がかなり良くないぞ!!」
ガヤガヤしていたクラスが一瞬にして静まり返った。いつもうるさくしてるのは、俺をいじめてくる野郎ばかり。そのリーダー格の男子が茶化すように言い放った。
「俺ら男子が足引っ張ってるんでしょ?みんなバカばっかりだからなぁ~」
「ワハハ!」
クラスに笑いが起きた。
《男子って限定して言うなよな!お前らが勉強しないからだろ!!》
いじめられている腹いせは、こうやって心の中ではらすしかない。腕力や仲間の頭数では到底敵わないからだ。
「まぁとにかくだな、この前も話した通り、これからの成績が来年2年生のクラス編成に関わっていくからな。以上!」
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