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俺の中では今回のテストはかなり手ごたえがあった。先月の終わりに来年のクラス替えの方針を聞いてから、俺は授業を良く聞き、学校でも塾でも勉強するようになった。
まだテストは返してもらってはいないが、その成果は多分出ているだろう。でも…
《やっぱり勉強して行こうかな》
テストが終わったばかりの週末だから、のんびり好きなことをして過ごしたいところだが、いじめから逃れたい一心の俺には、勉強をすることが逆に心を落ち着かせることに繋がっていた。だから…
《よぉし!塾に寄って勉強して行こう。こんな奴らとは来年も一緒に居たくないからな!!》
俺の心は決まった。いつものように、ゆっくりと身支度をした。そうすることで、奴らと下校時間をずらすのだ。全ては、こいつらと離れたいがためだった。
すると…
「ねぇねぇ高田くんっ!」
「え?」
やたらと人懐っこい口調で俺の席にやってきたのは…
「保科さん!」
見上げると、クラス一、いや、学校一の美少女が、弾んだ笑顔で声を掛けてきた。
《いじめられた元凶が、こんな美少女と仲良くなってしまったためだったなんてな…》
それはちょうど半年前のことだった。
…
……
………
俺がサッカー部を辞めて一週間ほどたったある日の放課後、たまたま一人でクラスにいた俺に、この美少女、保科咲子さんが突然話しかけてきたんだ。
『ねぇ、高田君。私と一緒にボランティア部に入らない?』
『えっ!?』
クラスメイトと言っても、挨拶もままならない間柄の彼女に突然声を掛けられ、俺は驚きを隠せなかった。
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