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「私ね、まだスケートしたことないのよ。ほら、この街ってスケート場あるでしょう?テストも終わったから、行ってみたいなぁって思ったの」
保科さんは高校入学と共にこの街へ転校してきたばかり。普段いろんな話をするけど、スケートに興味があったなんて全然知らなかった。
「これから一緒に行かない?」
真ん丸の二つの瞳が俺を捉えて離さない。
「こ…これから!?」
「うん!これから!!」
俺の事情など全く聞く素振りもなく、笑顔で詰め寄る保科さん。『塾に行って勉強をする』という高校生らしい行動をするつもりが…
《保科さんとスケートデートか…こんな可愛い子を連れて行ったら最高だな…ん?待てよ?周りの目が気になるな。『隣の男、あの女の子と全然釣り合ってないぞ!!』って思われそうだな…》
つい妄想をしていると、俺が答えを渋っていると思ったのか、保科さんはちょっと表情を曇らせた。
「もしかして、これから用事あったりしたの?」
保科さんはその端正な唇をちょっと突き出した。拗ねたような仕草がまた可愛い。
《こんなかわいい唇に触れる奴は、どんなに幸せなんだろう…きっと罰が当たるな!!》
「あ…いや、用事はないよ。実は俺もスケートはやったことないんだよね…アハハ」
照れ隠しもあって、俺はおどけて言った。すると、意外な言葉が返ってきた。
「大丈夫だよ!みんな今日が初めてだから。ね?」
《えっ…?みんなって??》
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