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一旦街へ出て、軽くランチを食べた後、スケート場行きのバスに乗った。20分ほどすると、丸い大きな建物が見えてきた。
「見えた見えた!早く滑りたいなっ!」
やはり一番はしゃいでいたのは保科さんだった。前の座席に溝端さんと並んで座る保科さんを、俺はぼんやりと眺めていた。
すると小野が耳元で小さく囁いた。
「俺は溝端さんと滑るから、高田は保科さんと滑ろよな」
「はぁ!?何言ってるんだよ!!」
そう言えば、小野はこの前『なんで保科さんのこと好きにならないんだ!?』って言っていた。
もちろん俺はきっぱりと否定したけど…小野は納得していなかった。
「変な気まわすなよ。この前も言ったけどさ、俺は別に保科さんのこと何にも思ってないんだから」
すると小野は目と声に力を入れて言った。
「嘘つけ!たった今、保科さんに釘付けだったじゃねぇかよ!」
《う…横から見ていたのか…》
「素直になれよ…高田」
「俺はいつも素直だよ!」
「逆だよ。いつも素直じゃないんだよ!!」
《もぉ!!頭にきた!》
「おまえこそ何だよ!年下の彼女はどうしたんだよ!もしかしてクリスマス前にケンカでもしちゃったのか!?」
「なぁにぃ!!」
俺と小野はヒートアップした。
だが…
「あんたたち!もう着いたわよ!」
溝端さんに一喝されてしまった。
「はぁい…」
気がつけばバスが停まっていた。遠くから見えていたスケート場が目の前にあった。
俺と小野はそそくさと席を立ち、女の子たちの後に続いた。
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