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そこは、『メクディアヌ大陸』の西に位置する、ヴァンクドール公国と呼ばれる地域である。ヴァンクドールは、海に面しており、海産物の他に貿易で発展している地域であった。 そのヴァンクドールに、ユーヤは住んでいた。
ユーヤがこの土地に流れ着いたのは、一年前くらいだった。王国が戦争に巻き込まれた時、彼らは国にはいなかった。仕事で離れており、帰ってきた時には、城に国旗は無く、他国の旗が掲げられていたのだ。
ユーヤ達は怒りを覚えたが、少数部隊では、一国相手に喧嘩も出来ない。ユーヤはその場で隊を解散し、放浪の旅をしながら、この国に辿り着いたのであった。
今のユーヤは、用心棒稼業で暮らしていた。
そんなある日、いつもの様に刀の手入れをしていると、口入れ屋の親父がやって来たのである。
「珍しいな、親父。直々に来るなんざ」
刀を鞘に納めると、ユーヤは親父に飲み物を出してやった。
「すいませんね、ユーヤさん。時間はありますか?」
「時間なら腐るほどあるが、どうした?」
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