序章

4/13
前へ
/116ページ
次へ
そこは、『メクディアヌ大陸』の西に位置する、ヴァンクドール公国と呼ばれる地域である。ヴァンクドールは、海に面しており、海産物の他に貿易で発展している地域であった。 そのヴァンクドールに、ユーヤは住んでいた。 ユーヤがこの土地に流れ着いたのは、一年前くらいだった。王国が戦争に巻き込まれた時、彼らは国にはいなかった。仕事で離れており、帰ってきた時には、城に国旗は無く、他国の旗が掲げられていたのだ。 ユーヤ達は怒りを覚えたが、少数部隊では、一国相手に喧嘩も出来ない。ユーヤはその場で隊を解散し、放浪の旅をしながら、この国に辿り着いたのであった。 今のユーヤは、用心棒稼業で暮らしていた。 そんなある日、いつもの様に刀の手入れをしていると、口入れ屋の親父がやって来たのである。 「珍しいな、親父。直々に来るなんざ」 刀を鞘に納めると、ユーヤは親父に飲み物を出してやった。 「すいませんね、ユーヤさん。時間はありますか?」 「時間なら腐るほどあるが、どうした?」
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

654人が本棚に入れています
本棚に追加