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「…そんな他人行儀な喋り方、止めてくんない? もっと楽にいこうぜ」
「…そうは言っても、これが俺の普段の喋り方だ。突然止めろと言われて止めれるようなものじゃないだろう?」
俺の言い分は間違っていないはずだ。染み付いてしまった自分の癖はすぐには直らない。
「……それが、普段の喋り方…? ……なるほどねぇ。まっ、良いけど」
「…何だ」
ぶつぶつと俺を見ながら呟くルーツ。…どうも、ルーツは俺の事について感づいているような気がする。気のせいならいいが……。
「別に。…まぁ、俺がしっかりとその喋り方を直してやるよ!」
「…それはどうも」
……これでも堅苦しくないように喋っているつもりなんだが…。
「……ドルク。俺が寝ている間に、襲ったりするなよ?」
「誰がするか!!」
真剣な表情でそんな事を言う。……コイツと二人暮らし、大丈夫だろうか…。
「―――すいません、ちょっと尋ねたい事があるんですが、よろしいですか?」
俺達の前方から歩いてきた白い虎獣人が俺達にそう言った。スーツを着こなしている辺り、どこかの組織的な何かだろうか?
「どうした?」
「この近辺で、黒の鳥人を見かけませんでしたか?」
どうやら人捜しのようだ。
「…いや、見てないな」
「そうですか…。ありがとうございました」
白虎は深く頭を下げ、俺達が歩いてきた道を、周りをキョロキョロしながら歩いていった。
「大変そうだな。迷子かな?」
「…どうだろうな。案外、家出とかだったりするかもな」
「―――いやぁ、そうなんだよ」
突然、後ろから声が聞こえてきた。俺とルーツは咄嗟に間合いを取って武器を構える。……いつの間に…。
「……黒の、鳥人…?」
目の前に居たのは、さっき白虎が言っていた黒の鳥人だった。……ということはコイツが…。
「いやいや、俺は違う。捜してるのは俺の息子だ」
「……息子?」
俺とルーツは構えを解いて、目の前の鳥人を見た。さっきの虎獣人のようにスーツを着ていて、金色の瞳を除けば全身真っ黒だ。
「ネロって言うんだが、ちょっと不審な行動した黒鳥人を見かけたら、どうにかしてダランまで連れて来てくれないか?」
それじゃっ、と言って勝手に話を終わらせ去って行く鴉。……何なんだ、一体。
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