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「レベル上がったね!」
「はいー😆」
77さん、見てるんだ、レベル。
「触角たまったら後でトレするから」
「えっ!?でも、それじゃぁ申し訳ないです」
触角集めのクエストをこなして、経験値をもらうため、この狩場は初心者にとっては、有り難い狩場なのだが、触角あっての狩場でもあるのだ。
その触角をリリカに渡してたら、77さんは何してるかわからない時間になってしまう。
「いいから♪いいから♪」
口笛でも聞こえてきそうなパテ茶に、りりかは自然と微笑んだ。
「りりか♪ギルド慣れた?」
「はいー😆皆さん親切なので。」
「困ったら、いつでもフレ茶ちょうだい、登録しとくから。」
「はい!ありがとうございます!」
「また敬語じゃん(笑)」
あ…。
りりかは目上の人には敬語と、厳しく祖父母に躾られたため、すんなりタメ語が出てこない。
77さんも、yoshiー77だから、みんなは「よしくん」と呼んでいた。
しかし、りりかは、それすら呼んでいいものかどうか躊躇するのだ。
77さんも、勝手に77さんと自分の中で呼んでるだけで、本人に呼びかけたことは一度もない。
無言の時間が過ぎていく…。
狩りをする音とフィールドに流れる軽快な音楽だけがゆっくりと流れていった。
ただ、パーティーを組むと表示されるパーティーメンバーの名前と、視界に映る知り合いのキャラクターの存在が、1人じゃないことを、りりかに強く感じさせていた。
時折、交わされるパテ茶での会話も「眠くない?」とか「疲れたら言ってね」と言った短いやり取りだったが、ついこの間まで、1人ぼっちでいたリリカにとって、満足するには充分なものだった。
辺りは見渡す限りの淡い緑の草原で、やわらかい風を感じた。
そして、いつものように、明け方まで続いたパーティーも、リリカの寝落ちで幕を閉じていった…。
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