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77さんとのワカ狩りから何日が過ぎただろうか。
りりかは、いつものように、真夜中の狩りをヤットちゃんと、お喋りしながら、以前よりは慣れた様子でこなしていた。
「ヤットちゃん?」
「はい。」
「ヤットちゃんは、いつもリリカと一緒にカリカリしてくれてるけど、リリカばっかで大丈夫なの?」
「大丈夫だょ(笑)ヤットはリリカと一緒にいたいから。」
「そか。ならよかったけど、他にパテのお誘いがあったら、気にせず行ってよね?」
リリカはギルドに所属したものの、ギルドメンバーとはたいして絡むことなく、ヤットちゃんと過ごしていた。
なぜなら、リリカがインすると待ち構えたように、ヤットちゃんからフレ茶が入るのだ…。
リリカは、仲良し女子特有の独占欲を少し、煩わしくも感じていた。
ヤットちゃんの親切が、リリカへの独占欲に変わったのには、きっかけがあった。
二~三日前に、リリカはギルドメンバーを優先して、ゲームのシナリオを進めていた。
シナリオは、ストーリーになっており、普段リリカ達がやっているレベル上げの狩りとは、少し様子が違う。
単独、すなわちソロで、シナリオを進める「ソロ屋」と違い、りりかはパテでシナリオをクリアするのが好きだった。
パテならではの、連帯感や、みんなでやり遂げた達成感が心地よいのだ。
ただシナリオは、要領を得ないりりかにとって、たいそう時間がかかる代物でもあった。
要するに、鈍くさいのだ。
そのため、その日はヤットちゃんには申し訳なかったが、一日中流れてくるヤットちゃんからのフレ茶に断りを入れ続け、ついに最後まで合流することが出来なかったのだ。
それ以来、ヤットちゃんは、リリカへの好意を口にするようになった。
時にそれは、ドラマで見るような、告白にも似た形でなされた。
同時に、高価なアイテムのプレゼントも…。
りりかは、それが、何とも居心地悪かった…。
アイテムの中には、「レア」と言われ、特定の敵がドロップする、特別な物が存在する。
物によっては、1/1000以上の確率だったりする。
なかなか簡単には、手に入らないのだ。
りりか達初心者は、普通の狩りで手に入れた収集品を、街の雑貨屋で売り、この世界の通貨を貯めて、レア装備を買うのが一番の近道だ。
ただ、リリカはレア装備を買ったことがない。
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