夏の幻

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あたりは暗くなりその日の帰り道蒼織は珍しく善い事をした 光輝くホタルをクモの巣から救いだした 家に着き、軽い食事をとり、汗を洗い流して、眠りに就いた 辺りが眩い光に包まれた 忘れられぬ思い出が走馬灯のように脳内に流れた もう逢えぬ人の幸せだった思い出 場面は変わり 鬼である自分と同じ鬼であるあの人・・・師匠が目の前に突如現れた 「よっ、蒼織元気だったか?」 昼の天識との会話を思い出し自分で都合よく作り出した幻影かもしれない それでも蒼織は嬉しかった 幻でも夢でももう逢えない人との出逢いを果たしたのだから 「し、師匠・・・師匠ぉぉお」 涙を浮かべる蒼織 蒼織の最初の“家族” 「ハハ、なんだよ幽霊でもみたような顔をしやがって、元気そうだな蒼織」 「あはっ、師匠は相変わらずですね、相変わらず鈍感で・・・馬鹿です」 そして夢のような時間は過ぎていった 「じゃ、そろそろオレ行くわ」 また眩い光に包まれスゥーッと消えていった・・・
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