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1日いないって言ってたけど、明日戻るのかな、やっぱり。
まだ、時計は9時を回ったところで、だけど、なんだかすごく、眠くて。
しばらくしてから、微かな物音で目があいた。
(あ、やばい、ソファで寝てた)
なにもかけていなかったから、ぶるりと体が震えた。
そのとき、俺の上にあったかいコートがかけられた。
(かけられたっていうか、乗せられた)
「あれ、キボム?」
気づけば後ろには、ミノがいて。
「ミノ、お帰りなさーい」
また、身震いがして、くしゅんっとクシャミをした。
「寝てたの?ちゃんとベッドで寝なよ」
「あー、うん、…ミノ待ってたから」
(あ、)
「え、俺のこと待ってたの?」
(いっちゃった)
「うーん…」
口を滑らせてしまったことが、ちょっと恥ずかしくなって、俺はミノのコートを頭からかぶった。
「ちょっと、キボム、」
ミノが俺の肩をトントン、と叩いたから、ミノの顔を見てみた。
目、合っちゃったけど。
「いや、なんか、今日バレンタインらしいから、ミノはどのくらい、貰ったのかな、って」
「そんなこと気になるの?」
(いや、全然、気には、ならないんだけど)
「じゃあ、まだ一個も貰ってない」
「え」
「本命から貰ってないから、なぁ」
そういって、ミノは俺をみた。
「え、それって、どういう」
途端、ミノの唇が俺と重なった。
「キボムは、くれないの?」
(まさか、まさかね!用意したけどね!)
「……ない、よ」
真っ赤になったのが自分でもわかるくらい、顔が熱い。
「ふぅん…料理うまいのに、キボムの、食べたかったなぁ」
(そんなの、そんなの、)
「反則だから!!!」
しっかりと、ラッピングまでしたチョコを、ミノのコートのポケットにつっこんだ。
「ふふ、素直じゃないなぁ、割と」
そして、また、キスされた。
(まだ、すきって、伝えてないのに!!!)
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