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腕を見ていると、またドアが開いて、ミノが部屋に入ってきた。
むくり、と起き上がると、ミノは俺に袋を手渡した。
「くすり、のんで」
「のませて、よ」
いつもはあまり、キス、とか、そういうのを自分からねだらないのだけど。
ただ、なんとなく、ね。
水を一口飲んで、
俺の口へ運んでくれる
「のんだ?」
「うん、」
ふふ、と俺が笑うと、
ミノが俺の腕を、優しく、すっごく優しく、掴んだ。
「ほっそい、腕、」
「なに、とつぜん」
ちょっと、びっくりした。
優しく掴むから、自分でも折れちゃうかと、思った。
「前は、もう少し筋肉ついてただろ」
「、そう、だっけ」
「折れちゃう」
「テミナの方が、細くない?」
(あ、名前、だしちゃった。やばい)
「テミナ、より、細い」
(え)
「うそ、ほんと?」
「なんで、喜んでるの」
「え、だって、テミナより細いと、ミノが喜ぶ、…かなぁーって、」
バシン、と、頬をたたかれた。
(いたい、すごく)
そしたら、今度は、
ぎゅっ、て抱き締められた。
(くるしい、むねが)
「ばかだよね、キボムって」
怒ってるんだろうけど、耳元で囁くから、なんだか、心地よくて、涙がでてきた。
「うん、俺、嫉妬してたみたい」
ふふ、と笑うと、ミノに、優しくキスされた。
「ばか、だなぁ」
ばか、って、繰り返してから、「ちゃんと食べて」って言われた。
俺は、一週間もしないうちに、普通にご飯が食べれるようになった。
愛って、すごいなぁ、って思った。
(今日も、俺から、キスをねだろう)
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