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だから、まぁ…普通に立ち去ろうとした。
目的地スーパーだし。
でも、足を踏み出した時…カツンッて音がした。何か蹴ったっぽい。
んで、足元を見たら……銀色の懐中時計…?
俺は不思議に思って体を屈めて拾おうとした…ら、今まで気にしてなかったウサミミ野郎の声が耳に入って来た。
「すみません!誰かボクの懐中時計見ませんでしたか?落としてしまったんですが…。銀色の懐中時計なんです!」
…あー…つまり、これはあのウサ耳野郎のってことか…。
……別に、無視してもいいんだが…。
「お願い、します…。あれがないとボク……」
………あそこまで真剣だと…なんか、なぁ…。
つーか…耳がショボンと垂れてるようにまで見えるし…。…まぁ、作り物だろうから幻覚だろーが…。
……妙にリアルだが…作り物…だよな…?
とりあえず…仕方ねぇか。
「おい…。お前が探してんのってこれか?」
「…!そ、そうです!ありがとうございます…!」
ウサ耳野郎は、俺の差し出した懐中時計を嬉しそうな顔で受け取った。
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