赤髪のアリス

ウサギ穴に落とされて

「あ～…いや、お礼とか別にいいって」

「いえっ！本っ当に大事な物なんです…！ありがとうございます！あの…お名前は…？」

……律儀なヤツだな…。
変なウサギ耳付けてるけど…何か礼儀正しいし…若いにしては感心だな。

…まぁ、俺もそんな老けてねぇけど。

「俺の名前はあ……」

「あ…？…あーっ！もしかして…アリスじゃないですか！？」

……は…？

「いや…違……」

「あぁ…やっぱり、アリスですよね！」

「いや、だから違……」

「良かったぁ！凄く探したんですよっ！」

……前言撤回。
やっぱり変なヤツだ。

しかも、人の話を聞かねぇ。
ウザイ。…よし、懐中時計は渡したし…最後に一回だけ否定して、無視して行くか。

「……俺はアリスじゃねぇ。名前は…別に名乗るようなモンでもねぇし。…じゃあ、そういうことで俺もう行くから…」

「…あっ！アリス…！待って下さ…」

…ふ～…やっぱり慣れねぇ親切とかするもんじゃねぇな。
録なことがねぇし。

…まぁ、とりあえず…昼飯の材料買いに行くか。
にしても…この調子じゃ、昼飯遅くなりそうだな…。