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「で?連れ帰ったわけだ
自分の部屋に……
ック……け、傑作」
今にも吹き出してしまいそうな、黒くて長い髪をした青年は
そんなことを言いながら、吹き出してしまう前に椅子ごと蹴り飛ばされてしまった。
壁に頭を打ち付け「あごぁっ」と無様な声をあげながら壁に寄りかかる形で崩れ落ちる。
「いってーな!何すんだ糞アラン!」
「次に笑ったら、跡形も無いくらい吹き飛ばすぞダイク……」
アランと呼ばれる若者は、細身の体に低めの声
髪は、夕日に照らされる海のような赤で
右半分は乱雑に切られ、左半分は肩にかかるほど長く、アシンメトリー愛好家かと思わせるようなまばら頭をしている。
その頭をやや下げて、怒りに震えていた。
「おいコラァ ちったぁ静かにしやがれ!
客はテメェ等だけじゃねーんだぞ!」
二人のいる室内……というよりは店内だが、バーと呼ぶには少々地味な風貌で、少しホコリをかぶった棚には乱雑に酒のボトルが並べてある。
タバコと酒の臭いのする店内に似合う「オレは荒くれだ!」と、姿だけで語る大男が、グラスが割れてしまいそうな大声で叫ぶ。
「おめーもうるせぇだろうがバカヤロー!」
ダイクと呼ばれる青年は、その荒くれに食って掛かる。
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