それぞれの情事

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肩くらいまでの黒髪で目がくりくりっとしていた。小柄でメガネをかけていた。 人見知りをけっこうするらしく、メガネはマトモに話すと恥ずかしいからしているという伊達メガネらしい。 「っとまぁ、以上。君を入れてのシフトを組んでやるから、そのつもりで。基本的に仕事は坂本君に教わってくれ」 花澤店長がそう言ってそれぞれ仕事の準備にとりかかっていた。 オレの指導は坂本先輩がしてくれるそうなんだが…。 「よーし!じゃあさっそくやるか!まずは新人の登竜門、掃除だ!気合い入れていくぞ!」 「はい」 「声が小さい!気合い入れていくぞー!」 「は、はい!」 い、いきなりの熱血指導開始か? まだお客さんいないけど恥ずかしいよ。 「まずはフロアだ!モップ掛け!塵一つ見逃すなよ?」 しっかりやれってことだよね?ホントにそこまでやらなくていいよね? オレは気合いを入れてモップを掛ける。 「よーし!そうだ!もっと腰を使うんだ腰をー!」 こ、腰!?こ、こうか?腰を使って…。 「………何をやっているんだ?」 「いや、腰を……」
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