それぞれの情事

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「う、ううん。前にバンドやってたから、が、楽器のことは少しわかってたんだけど…接客業はこ、ここが初めて」 「バンドっすか!?わからないもんだなぁ。何やってたんですか?」 「……ボ、ボーカルと…ギター…」 「ボーカル!?先輩が!?」 「そ、そうだよ」 「うへぇ……」 ホント、わっからないもんだなぁ。こんなに人見知りするのに人前で歌ってたんだ…。 「あ、あと、敬語いらないからね。同い年だから…」 「えっ!?」 た、確かに歳聞いてないし若いとは思ってたけど…。 「新人ー!休憩入れー!」 あっ、もうお昼か。 「じ、じゃあお先に」 「う、うん。ゆっくり休んで」 そして裏のスタッフルームへ。 それにしてもタメだったなんてな。でも先輩は先輩だから、失礼のないように。 スタッフルームにはロッカーが並べられていて、小さなテレビがついていた。 五畳くらいの部屋で真ん中に四角いテーブルが置いてあった。 今、そこにめぐが作ってくれた弁当を広げてるんだ。 オレが食べ切れる範囲の食材で栄養を考え、色あいまでばっちりだ。
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