淡恋

「わかった!!俺のこと好きなんだ！なんだよ～照れんなよ～。」

わざと茶化すような言葉を口にし、Ｋの反応を試す。
瞬間、Ｋの瞳が見開き、身体が硬直した。

…………は?どーゆうこと……??

「……図星?」

とか?いやいやまさかな(笑)ありえねぇありえねぇ。
なんて思ってたら、

「……っ」

まさに的中といったようにＫが息を呑んだ。
…………まじ?

「………オレのこと、好きなの?」

なんてこと聞いてんだよオレ。そんなことありえねぇのに。なに、マジになって聞いてんだよ。

「………ちが、う」

瞳にじわじわと溜まってゆく透明な雫。零れ落ちてしまうのを我慢するかのように、Ｋの唇がきつく噛み締められる。

ちがうなら、なんでお前泣くの堪えたりしてんだよ。

「Ａのことなんて、好きじゃない」

「わかったよ…だからそんな顔すんなよ」

そっと、Ｋの体を引き寄せ腕の中に包み込んだ。

「やめて……」

「やだ」

「なんで……?」

「なんでだろ?無性にお前を抱きしめてやりたくて、気づいたらこうしてた」

「Ａこそ………オレのこと、好きなんじゃないの…?」

さっきのオレと同じように問いかけてくるＫ。
その言葉はストンと、胸に染み込んできた。あー…なんだ。そっか。オレ、こいつのこと、

「好きだよ」

だから、オレを見ないＫに腹が立ったり、女じゃないのに頬にキスしたり、こんな風に抱きしめたくなったりしたんだな。

今、やっとオレの気持ちに気づいた。なぁ、Ｋ。こんな気持ち迷惑?