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双子のピエロはそのテントの中へ姿を消した
暗い森の奥の奥、多くの人がサーカスを見ようと集まってきている
サーカステントに開いた小さな穴から、少女は中を覗いてみた
ライトに照らされた先ほどの双子のピエロが見える、楽しそうに笑っている目からは涙が流れている。
次に現れたのは両目を覆わせられた、異形の歌姫
一見普通の女の子だが下半身は鹿のようだ
最後に見えたのはテーブルとイス。イスに座るは手足を縛られた一人の青年
彼の前に置かれた皿の上には生青白い生首、彼はそれを見てにっこりと笑い、口から唾液をポタッ…と流す
少女はテントの裏に回りステージで観客を沸かせていたキャストを一目見ようとした
ステージ裏にはキャストが逃げ出さないよう大きな牢獄があった。
異形の歌姫は牢獄の中で、静かに泣いていた
双子のピエロは片手づつ伸ばし、歌姫の目隠しを外す
「望まれて生まれてきたわけじゃない…この体…」
歌姫は嘆いた
閉じ込められ出られない鉄格子の間から双子のピエロの目を見る
「なんで…そんな目で見ているの…顔が腐食ってく…」
その時、歌姫と双子のピエロが、楽屋裏で立ち尽くす少女をを見た。
その顔は、花模様のように腐食っていた…
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