壬生狼

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京都市内で二条城にも御所にも近い 壬生村 田畑が多く、水が綺麗なこの村。 夜になると出歩く村人はまずいないこの村に人影がひとつ。 その人影は門に『新撰組』と掲げられている屋敷に入っていった。 京都守護職預かり新撰組屯所。 入っていった人影はここの住人。 沖田総司。 沖田は律依と言葉を交わした後 その足で屯所に戻った。 物音をなるべくたてないように屋敷へと入る沖田だったが、 残念ながら玄関に長身の男が待ち構えていた。 「随分遅い戻りだな。 非番だというのに隊服まで… 逢瀬の相手は一体どんな女だ?」 沖田は男の言葉に大袈裟に肩を落とす仕草をとる。 男の名は斉藤一。 沖田と同じ新撰組の副長助勤だ。 「ひどいなぁ斉藤さんは、 まるで悪さをしたみたいに言わないでくださいよぉ。 いやね、隊士達の模範にでもなろうかなぁって自主的に見廻りに出たまでですよ」 沖田の返しに斉藤はフッと笑みをこぼす。 よく剣術で沖田にかなう奴はほとんどいないと言われるが、 案外言い訳でもそうなのではないかと、 斉藤は常々思っていた。 ウソだろうとはわかっていても、 子供のように冗談混じりで言われては、 それ以上追求しようとは思わなくさせる。
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