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芽衣に礼を告げて、桜良は帰って行った。
特に何がしたいのか、良く解らない少年だ。
「…変な奴」
しかし、そう呟く芽衣の表情は、どことなく嬉しげだった。
ベッドの横のミネラルウォーターを手に取り、空き瓶へと注ぐ。
そこへ先程の枝を活けてみた。
何となく活き活きとしてきた気がする。
それを窓の横へ置き、遠くの桜と交互に見つめた。
「咲くと良いね」
蕾を指の腹で優しく撫で、自分はベッドへと戻っていく。
窓の隙間からは、春の匂いが入り込んでいた。
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