桜と桜良。

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暫く桜良は、やって来なかった。 寂しい訳では無い。 前と同じ日常に戻っただけ。 芽衣は自分に言い聞かせていた。 でも心が晴れない…。 靄が纏わりつく様に、ひどく居心地が悪い。 それが恋なのだと、芽衣は気付けなかった。 気付ける程、世間を知ってはいなかったから。 いつまでも抜け出せない迷路に、芽衣は疲れきっていく。 課せられた重荷に、更なる重荷となってしまっていた。 「…何してるんだろ」 少ししかしらない少年に、想いを馳せていく。 いっそ、この部屋を出れるなら。 迷わず彼を探すだろう…。 だが、そんな小さな願いも叶わない…。
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