窓の外

3/5
前へ
/12ページ
次へ
少しずつ積もる雪。 それを待ち望んでいたかのように、徐々に小さな子供たちが姿を現す。 悴む寒さも忘れ、雪だるまを作ったり。 ソリで丘を下ったり。 親子で雪合戦をしたりしていた。 「良いな…………」 消え入るような声で呟いた芽衣。 それは誰にも聞こえる事は無く、目の前の硝子を曇らせる。 「………」 何気なく、曇った窓に字を書いた。 『病気』 不意に訪れた"ソレ"は、普通を普通でなくした…。 うっすらと涙を浮かべ、袖で擦り消す。 「…私の病気も、こんな簡単に消えれば良いのに……」 意味の無い事と解っていても、何度も擦った。 何度も、何度も……。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加