桜と桜良。

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「君の名前は?」 窓の縁に肘をつき、ニコニコと問い掛ける桜良。 「………芽衣。植物の芽に、衣服の衣で芽衣」 相変わらず素っ気なく答える芽衣。 しかし、それは先程の高鳴りを抑える為だった。 「良い名前だね」 そう言う桜良に、何て返せば良いか解らなくなる。 少し気まずい沈黙が流れた。 「……何しに来たの?」 その空気に居たたまれなくなり、芽衣が口を開く。 「最近、芽衣のこと見ないなと思って。…ほら。いつも此処から、あの桜の木を見てたでしょ?」 芽衣は驚き言葉を無くす。 まさか、自分を見ていた人が居たなんて…。 嬉しくも、気恥ずかしい気持ちになった。 「別に…。そんなの私の勝手でしょ?」 冷たく返された桜良は、相変わらず微笑んでいる。 だが、どことなく寂しそうな笑みだった。
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