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「時間だから」
そう言って桜良は帰って行った。
両親以外と会話をしたのなんて、いつ以来だろう?
先程までの素直じゃない自分を思い出し、少し悲しくなった。
――――
桜良が来た日から数日、体調の良い日が続いた。
「…もうすぐかな」
遠目に映るそよいだ桜の木は、早く咲きたいと言っている様に感じる。
飽きもせず桜の木を眺めていると、突然目の前に人影が映った。
「やあ」
図々しく窓を開ける桜良。
何故か嫌な気はしない。
「また来たの…?」
どうして素直になれないんだろう?
そんな想いが胸を締め付ける。
「今日は体調が良いんだね」
相変わらずニコニコと微笑む桜良。
何がそんなに楽しいんだろうか。
「今日はお土産を持ってきたんだ」
そう言って何かを取り出した。
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