桜と桜良。

3/7
前へ
/12ページ
次へ
「時間だから」 そう言って桜良は帰って行った。 両親以外と会話をしたのなんて、いつ以来だろう? 先程までの素直じゃない自分を思い出し、少し悲しくなった。 ―――― 桜良が来た日から数日、体調の良い日が続いた。 「…もうすぐかな」 遠目に映るそよいだ桜の木は、早く咲きたいと言っている様に感じる。 飽きもせず桜の木を眺めていると、突然目の前に人影が映った。 「やあ」 図々しく窓を開ける桜良。 何故か嫌な気はしない。 「また来たの…?」 どうして素直になれないんだろう? そんな想いが胸を締め付ける。 「今日は体調が良いんだね」 相変わらずニコニコと微笑む桜良。 何がそんなに楽しいんだろうか。 「今日はお土産を持ってきたんだ」 そう言って何かを取り出した。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加