0人が本棚に入れています
本棚に追加
僕と彼女の指は、赤い糸で繋がれていた。
元は白かった糸。
誰かが、僕と彼女の指を糸で繋いでいたのを覚えている。
糸は通したとこから赤く染まっていった。いや、赤黒くか。
何故そんなことをするのかわからないけど、僕は口も利けない状況みたいだから、質問することも出来ず、ただ繋がれるのを黙って見ていた。
彼女のほうは……見るとかそういうことも出来ないようだ。目玉が刳り抜かれていて、そこから赤い線が引かれているし。鼻は削ぎ落とされて、唇はズタズタに引き裂かれている。
髪に隠れて見えないけど、多分耳もない。あ、でも耳のあったであろう場所から、所々白い部分の残る赤い糸が出て、それが僕の鼻まで伸びてきている。
誰かが僕の鼻にも糸を入れようとしてる。
ああ分かった。この誰かは僕と彼女を余すことなく繋げようとしてるんだ。
何のためかはわからないけれど。
愛し合った僕たちを、繋ぎ合わせようとしている。二度と離れないように。永遠に一緒にいられるように。
息をしてない彼女と、まだ呼吸をしてる僕が離れないように。
こういうとき、僕はこの誰かになんと言えばいい?
ありがとう、かなぁ?
最初のコメントを投稿しよう!