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「今日も歌ってんなー」
「・・・まーな」
いつもと同じ陽気な声に心が晴れていく。
「高一からだっけ?歌ってるの」
「もうそんなに前か・・・」
「俺は昔から、お前の歌好きだぜ」
「・・・ありがと」
俺は少し照れて、うつむいた。
ほめられるのは慣れていない。
その様子を健はおもしろがって見ている。
こんな姿は健にしか見せたことがない。
っというか、健にしか見せない。
俺が一番、心を開ける人物が健だ。
「俺、そろそろ帰るわ。帰って課題やんねーとな」
「大学生は大変だな」
「拓巳は頭いいんだから、大学行けばよかったのに」
「俺は早く自立したかったし、いいんだよ」
「まぁ、いいけどさ。三人で同じ大学行きたかったなって・・・。俺の勝手な夢だけど」
健はつまらないそうに、うな垂れて見せる。
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