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目の前に転がる死体、死体、死体。
その真ん中に立つのは、今まで愛して大好きだった僕の彼女。
「これで私とあなたの二人だけだね」
何故彼女は、笑えるのだろう。何故彼女は、血塗れのまま僕の元に歩いてくるのだろう。何故彼女は、包丁なんか持ち歩いていたんだろう。
「友達なんかアナタにはいらない。アナタにいるのは、私だけ」
僕は逃げた。何に?彼女からだ。
背中を向けて力の限り。みっともない?そんなの知るか、とにかく逃げるんだ。じゃないと僕も……
ドスン
痛い。え?なに、これ…?
僕は倒れる。背中に何かが突き刺さっている。
「私から逃げちゃだ~め」
彼女の声は遠い。しかし彼女の手には包丁がない。当たり前だ、よく考えればすぐにわかる。彼女は僕に投げたのだ。
「逃げる必要なんかないの。アナタにはもう私しかいないんだから。友達も、知人も、親も、親戚も、兄弟も、みんなみんな私が殺してあげたんだから」
彼女は僕に近づき、寄り添う様に上から身体を重ね合わせてくる。
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