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二人を乗せた馬車は、まっすぐと公国の王都へと続く街道を進んでいる。
川沿いに沿って延びる街道は商人達の主要道路で人並は中々なものである。
横に流れている川は、商船が通れる程の幅のある川である。
元々ヘブンは材木の街として知られその主要街道と船による二つのルートで街に材木が運び込まれるのである。
二人が王都ヘブンの象徴である街をグルリと囲む白い防壁が見えてきたのは夕刻過ぎであり、その長い馬車での時間、二人共全く口を開かなかった。
城門には商人が長い列を成し、王都ヘブンに入る為の荷物検査が行われていた。
街では今、帝国との休戦条約の締結でお祭り騒ぎであり、行商人達もうまい話しに食いついたと言わんばかりにこの王都に流れ混んで来ている。
そんな中を二人を乗せた馬車はスルーしていく。
門番も公国の刻印が入っている馬車を見て最優先で王都の中に入れる。
馬車は街中に入り少しスピードを落とした。
どうやら街は、どんちゃん騒ぎのせいで人であふれかえっている様で馬車を通り抜けさせるのも一苦労の様だ。
そんな混雑した中でも、王都の民は公女だとわかると、笑いながら手を振ってくれている。
それを見たユリイは笑いながら手を振替している。
その横顔を盗み見るようにシュルはユリイを見る。太陽の光に輝く髪と赤い目に見入ってしまうシュル。ユリイはそんなシュルの視線に気づいたのかシュルの顔を見る。
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