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修練場までの長い廊下を二人で歩いていると前から長い列を成して歩いて来る団体を発見した。
「おやおや、団長殿。
また、姫様の御遊びの相手ですかな?」
「これはこれは、大神官様。」
白髪の頭には青い司祭帽に青で統一された司祭の服に身を包んで話しかける老人は公国の大神官であり、政治の一躍も担っている高級官僚である。
「まぁ…。大変なのはどちらも同じですのう。それより、団長殿?私の所の司教見習いがお邪魔していると聞いたのだが心当たりはあるかね?」
大神官のその言葉には勿論心当たりがあった。当の本人も見事に動揺していた。
神官の列の中から人を掻き分け前まで来たその本人の格好はお世辞にも司教とは言えない。
金髪に司祭帽、司祭の服を着崩したその服装はとてもラフであった。
「おや、ラース司教見習い。どうかしたのかね?」
「は、はい。これから禊ぎの蒔もありますので早く行かれてはどうでしょ?」
「そうか…。いや、これは失敬した。団長殿。では後ほどまた。」
そう言って、大神官は長い廊下を歩いて行った。
「ラース。君は行かなくて良いのかい?」
「シュル…あのタヌキ親父、俺って分かってて聞いたのか?」
「さぁな?」
ラースもそう言うと、自分の列に戻り大神官の後を着いていく。
「さぁ。シュル団長。修練場ですよ。歩きながらで良いですから、候補生の書類に目を通しておいてください。」
シュルは本来の目的を忘れていた所にセルシアが背中を押しす。しかも書類に目を通すと言う面倒な仕事と一緒にだ。
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