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『俺が、受け入れてやる。』
大きな手が背中を優しく撫でる。
もう、敵わないなぁ。
私は彼の胸に顔を埋めた。
なんだろう、安心するけど
何か違和感が
『震えてるの?』
大丈夫だろうかと彼の顔を覗きこんだら
頭突きされた。
結構痛い。
『誰かさんのおかげでな』
彼が腕を離して上半身を起こした。
あ、そうか。下敷きにしてたんだもん、寒いよね。
触れた彼の背中は可哀想なくらい冷えきっていた。
『ごめん…』
少しでも温めてあげようと彼の首に抱きついたら勢いがついてしまい、その拍子にまた倒れてしまった。
『ご、ごめ』
『お前は、本当に…』
仕方ないなと笑った彼はあまりに儚くて。
私は彼を確かめるように
強く抱き締めた。
私は知らなかった。
きっと、知りたくなかった。
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