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近代日本の象徴とも言えるビル群を越えて、商店街を抜けて少し行った細い路地の奥を進むと、その家はあった。
東京の一角とは思えないボロイ家。
赤茶に錆びた外柵。
剥がれかけたトタン屋根。
そして、お粗末に修理された窓……。
その古い外見は他と比べて異彩を放っていた。
「ここか…。」
迷は再び紙を確認し、紙に書かれている名字と表札を照合した。
表札には図太い筆遣いで「仙田」と書き殴ってあった。
仙田というのは母方の姓だ。
この力強い字はおそらくまだ見ぬおじいちゃんが執筆したのだろう。
迷は北海道にいたせいか、おじいちゃん、おばあちゃんに会った覚えが無かった。
いったいどんな人達なのだろうか……。
期待に胸を膨らませながら、迷は扉をノックした…。
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