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「そら、変だよ?」
そらは不思議そうに見つめて来た。それから笑った。
「私、カワ(川崎)を振り向かせたかな?」
「違う。断じてお前を好きになるはずがないっての」
ちぇーっとでも言いたげな顔でこちらを見て来たが無視してやった。つまらなさそうにそらは水風船をポーンポーンと叩いていた。
なんで想いは伝わらないの?何回好きと伝えても分かってくれないの?どうして…
時は確実に流れていた。時間が流れても想いは伝わらない。そらは困り果てたように水風船をポーンポーンと叩いていた。夕焼けの淡い赤色の空景色がそらの色素の抜けた髪の毛を輝かせていた。桜祭も、もう終わり。明日は学校。だけど同じ桜祭は2度と来ない。
自分に振り向かせる事がいかに困難か知った17歳の春。簡単に振り向かせる事が出来れば誰も苦労しない。
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