桜祭

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授業中そらは空を眺めていた。淋しげな顔で空を見つめる。時々する淋しげな顔。 「水城ここ答えろ」 先生はそらを当てた。こんな難問そらが分かるはずがなかった。そらは席を立った。 「(x+1)の二乗」 「正解。保健室行ってこい」 先生はそらの何かを知るように言った。黙ってそらは保健室に行ってしまった。マナマオも何かを知る目でそらを見ていた。うつろな目で教室を出る間際に笑って 「大丈夫だから心配しないで」 と一言言って出て行った。孝道もまた何かを知ってるような顔でそらを見送っていた。 自分だけその【何か】を知らないようで悔しかった。そう、僕は【恋】を知らない上にそのそらの【何か】も知らない。一生の不覚。誰かに聞こうと言う気も起こらず、黙って時を過ごした。時計の音が教室に鳴り響いた。誰も何も喋らなかったしそらは戻って来なかった。鞄はいつの間にかなかった。静かな教室が気味が悪かった。
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