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そんな孝道の話を聞きながら(惚気にも聞こえるけど)学校へと歩いて行った。
いつもの並木道、桜の花びらが蝶のように舞っている。幻覚のように。ひらひらと。
一瞬にして目が覚めた。桜の花びらと共に落ちてくる空色の封筒。思わず静止してしまう。頭の上にカサッと乗った空色の封筒。手に取ってみれば
【川崎くんへ 水城そら】
と宛名が書いてあった。癖のない綺麗な字でそう書かれていた。
「あー風で落ちちゃったよラブレター。川崎くんの頭の上に乗ってるよぉ…真菜ちゃん、どうしよう…」
「え、それって気まずくない?」
頭上でそんな会話が聞こえた。教室まで行くのが嫌になった。隣で孝道は呆然とこっちをみている。と言うよりも封筒の差出人の名前を見つめている。嫌な予感が頭を遮った。もし予感が当たっていたらどうするべきか分からない。頭上では呑気な会話。いい迷惑だ水城そら。と思っていると又声がした。
「でも、真菜が思うには風で落としたって事より落とす状況を作ったそらも悪いかと」
それもそうだと僕も思う。
ラブレター。今時書くなよなんて想う。
行きたくないがラブレターを片手に教室に向かった。
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