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青天のキンパツ……、もとい、青天の霹靂。
今のあたしにはこの言葉がしっくりくる。
『だよーん』と腹立たしいくらい軽く紹介された許婚を、ぽかんと見るしか出来ない。
「……お、おじいちゃんちょっと来て!」
とにかく、この状況を説明して欲しくて、居間からおじいちゃんをずるずる引っ張り、おじいちゃんの部屋まで来た。
「こんな所まで引っ張ってきてなんじゃい? はっ! まさかお前……」
胸の前で腕を交差させて、身を守るかたちをとるおじいちゃん。
「孫に犯される日がこようとは世も末じゃ~」
「訳わかんないこと言わないでよ! そうじゃないでしょ? あの人なんなのよ!?」
ボケじいさんのボケに乗る余裕のないあたしは、こめかみに怒りマークを作ってまくし立てる。
「あ~ん? だから許婚だわい。さっき紹介したじゃろ。お前さん若いのにもうボケたんか」
鼻に小指を突っ込み話す、紛れも無い血の繋がったおじいちゃんの首を本気で絞めてやりたい!!
「あーのーねぇ! あたしが言いたいのは、なんでいきなり許婚とかがあたしにいるのってことよ。しかもあたしに相談もなく」
ホジホジホジ……
「だいたい、いまどき許婚とか聞いたことないし」
ホジホジホジ……
「それにあたしにだって……って聞いてるの!?」
鼻をほじるおじいちゃんの肘を思い切り下から叩く。
「ぬおっ!」
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