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「なー、こっち来て座れば?」
キンパツは自分が座るテーブルの向かい側を眼で促す。
「ああ……、はい」
あたしは素直に従い、キンパツの目の前にちょこんと座った。
座ったものの、居心地悪くて、何か話さなきゃと思えば思うほど言葉が出てこない。
(……き、気まずい!)
テーブルに落としていた視線を上げると、キンパツと視線がぶつかる。
あ……。
この人の眼、やっぱり優しい眼をしてる。
「あの、あなた今日白学のところにいましたよね?」
「沖田隼人」
「え?」
「『あなた』じゃなくて、俺の名前『沖田隼人』ての」
無邪気に笑うと、見た目より幼くて、青高の制服やキンパツというガラの悪さを除けば、案外いいヤツかとも思える。
「まー、近い将来は『あなた』って呼ばれるかもだけど」
「ななななな……なにをっ!!」
言っちゃってるのこの人は!
しかもあたしの質問に答えてないし!!
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