シナモン♥1

29/30
前へ
/702ページ
次へ
「なー、こっち来て座れば?」 キンパツは自分が座るテーブルの向かい側を眼で促す。 「ああ……、はい」 あたしは素直に従い、キンパツの目の前にちょこんと座った。 座ったものの、居心地悪くて、何か話さなきゃと思えば思うほど言葉が出てこない。 (……き、気まずい!) テーブルに落としていた視線を上げると、キンパツと視線がぶつかる。 あ……。 この人の眼、やっぱり優しい眼をしてる。 「あの、あなた今日白学のところにいましたよね?」 「沖田隼人」 「え?」 「『あなた』じゃなくて、俺の名前『沖田隼人』ての」 無邪気に笑うと、見た目より幼くて、青高の制服やキンパツというガラの悪さを除けば、案外いいヤツかとも思える。 「まー、近い将来は『あなた』って呼ばれるかもだけど」 「ななななな……なにをっ!!」 言っちゃってるのこの人は! しかもあたしの質問に答えてないし!! .
/702ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5767人が本棚に入れています
本棚に追加