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部屋に戻り、ベッドにダイビングして、枕代わりにしているビーズクッションに顔を埋める。
……お父さんとお母さんがいたら、許婚なんて許さなかっただろうに。
なんて、考えても仕方のないことを考えてしまう。
あー、やだ。
ネガティブなあたしはあたしらしくなくて、それでまた落ち込んでしまう。
よしっ、こんな時こそお風呂にでも入って、リフレッシュしよう!
桐の箪笥から、ピンクのレースが付いた、お気に入りの下着を出す。
ーーコンッ
ドアが鳴ってあたしを呼ぶ。
開けながら
「なーに? おじいちゃんお腹でも空いたの?」
「誰がじいちゃんだよ。おっ、ピンクのレース! 俺のために履くの?」
握ったままだった下着を指差す沖田君がそこに居た。
慌てて手を後ろに回し、下着を背中に隠す。
(そうだったー!! コイツがいたんだった)
不覚をとってお気にの下着を見せてしまった恥ずかしさと、軽い態度の沖田君が気に喰わなくて睨みつけた。
「なにか用?」
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