君色の花/第2章

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真っ白な無地の紙に ありったけの思いを込め、 書いた手紙。 それを丁寧に折りたたみ、 墓石の前に置く。 手紙の横に、 とびきり美しい春の花で彩りを添える。 太子が見つけやすいように… 太子に届くように… 長年に渡って書き綴られた 数えきれないほどの手紙は、 墓石の横に きちんと積み重ねられている。 この丘は不思議なことに、 ここ数年、悪天候になった事がない。 丘の下が雨でも、嵐でも、雪でも、 ここだけはカラリとして晴れている。 まるで太子の笑顔のように…  
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