君色の花/第2章

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「ご精が出るね、妹ちゃん」 いつものように 太子のお墓の手入れをしていた 僕の背後から、 よく知った声が聞こえた。 僕はその声に反射的に振り返る。 「っ…! 閻魔さん…何しに来たんですか」 「も―、そんな怖い顔しないでよ」 閻魔…… この人、いや、この悪魔は 太子の生前、 冥界から僕らをからかうために たびたび遊びにやって来ていた。 太子とは友達みたいだったけど、 僕は嫌いだ。 こいつは太子がいなくなった後も 何度も僕の前に現れては僕をからかい、 愉快そうに帰っていく。 人の痛みなど、 知るよしもない。 ―…ただの悪魔。 「……あれ、妹ちゃん… 泣いてるの?」 「…泣いて?僕は泣いてなんか…」 目元をぬぐってみると、手には涙の滴がついていた。 自分でも気づかないうちに泣いていたらしい。  
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