序章

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翠色の大きな瞳からは涙が流れ、必死に歯を食いしばる。 しばらく、イリアはみんなを見つめていた。 張り詰めた空気が痛い。 そんな空気を増長させるように、ガルゼが口を開く。 「次は貴様の番だ、神子。安心しろ。すぐにあとを追わせてやる」 その言葉で何かを決意したように涙を拭い、再び立ち上がる。 若干泣き腫らしながらも、イリアの顔には笑みがあった。 「ゴメン、みんな。コイツは・・・・ガルゼは普通の方法じゃ勝てそうにもないや」 そう呟きながら、後ろにいる仲間に振り返り笑って語りかける。 そして、再び魔王に向き直りまっすぐと相手を見据える。 ―――迷い無き瞳で。 (なんだ、この小娘・・・!あの瞳・・!先代の神子と同じ憎きあの瞳と同じ眼差しを・・!) ガルゼが表情を歪ませるなか、イリアはそのまま胸の前で手を組み祈るように念じた。 その瞬間、イリアは眩い光に包まれ、部屋全体を明るく照らした。 ガルゼは、その光が眩しく直視できず、バランスを崩したじろいだ。 次第に光は徐々にイリアに取り込まれるように消え、そして、イリアの姿が露になる。 目がくらみながらも魔王は視界を取り戻し、イリアを見た瞬間驚きの表情になった。 「っ!貴様!その姿!!!」 ガルゼが言うイリアの姿。それは、姿と雰囲気が一変しているという事。 つまり、神子の姿に覚醒したのだ。 これが、イリアの真の姿。 覚醒したイリアはサラッとした金髪で腰まで届く長髪。 先程までの甘そうな雰囲気はなくなっている。 服装も若干異なっていて、服のつくりは殆ど一緒だが、短パンから紅いスカートになっている。 .
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