寒いのは嫌いである、まる。

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 雪が降っている。  道路を、屋根を、その他いろいろを白く染めていく。  白く染めてくれちゃうのは別にいいのだ。好きなだけ白くしてくれ。  他の人は困るだろうが、俺は別に電車を止められようが何をされようが構わない。外に出ることがないからだ。  だが、だがしかし。  この寒さはどうにかならないだろうか?  俺は寒いのが苦手なのだ。まじで勘弁してほしい。  いつもなら外をうろついて暇をつぶす俺であるが、こんな寒くちゃ外に出れない。こたつに入ってぬくぬくと丸まっているしかない。  愛しのあの子は何をしているんだろうか、とかなんとか、あることないこと考えてしまう。  雪は早く止めばいい。  そして早く暖かくなればいい。  ついでに足の裏に触れる雪なんてものは溶けてしまえ。  俺は外に出たいのだ。  暖かくなれば俺は外に出れるのだ。屋根の上なんかに登ったりして、愛しのあの子と太陽の日差しを浴びながらぬくぬくしたい。  こたつも暖かいが、こたつでは駄目なのだ。やはり太陽の日差しが良い。  あぁ、すこぶる寒くなる雪なんて嫌いだ。  さっさと止んでしまえ。  とまぁ、そんな感じに雪についていろいろ思っていると、婆ちゃんが「ごはんだよ~」と声を掛けてきた。  ふむ、ごはんか。  本音を言うならこたつに入りながら食べたいが、しかたない。  俺はこたつから抜け出し、部屋を出た。  再び婆ちゃんに「ごはんだよ~」なんて声を掛けられる。  はいはい、今行きますよ~。  俺はとことこと歩きながら、 「にゃ~」  なんて返事をした。  俺は猫である。  寒いのが嫌いな猫である
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