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朝起きて、部屋の窓を開けると、ほんのり霧がかった天気に一瞬驚きを隠せない。なぜなら今は寒い冬の12月。霧は秋に見られることだから、と最近古典で習った。
しかし悪い気はしない。
木々の間から差し込む太陽の光が反射され、いつもより明るく、よりはっきりと、綺麗に見えたからである。
今日は日曜日だというのに、私が早起きしたのは理由があった。
それは、新人の寝顔チェック。
だから私は、計画犯である寝起きが悪い二人を起こしに行かなければならなかった。
それでも、朝の日課であるコーヒーを炒れることを忘れてはいけない。
数分後…。
駄目だった。脇を擽ろうが、物で叩こうが、何をしようが微動だにしない。仕方なく私は、ジーンズとパーカーに着替え、一人で新人である葵くんの部屋の扉を、ゆっくりと気づかれないように開けた。
「!?」
まず飛び込んできたのは葵くんの上半身裸体、がっしりとした肩幅と肉付き、まさに男性の体と言える。
私は、前回のように見とれることはなく、顔をさらに赤くして、思いきり扉を閉め、駆け足でその場を立ち去った。大きな音とけたたましい足音が静かな家に響いた。
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