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努力の甲斐あってか、私はテストで高得点をとっていた。
クラス全員集まっているというのに、沈黙、無音といっても良い。静かな教室で、先生から答案をもらう。
いつもテストでは敵わない千華より高く、当然のように亜弥に圧勝。先生の目の前で高らかに勝利の宣言をした。
そんなとき、いつの間にか葵くんが隣に立っていて私をずっと呼んでいる。
「…!」
だが声が遠く聞こえる。
「美鈴!」
視界が霞む。
そして私は、ハッと目を覚ました。横を向けば、やはり葵くんが立っていた。
「美鈴、風邪引くぞ」
「やっぱり夢だったんだ…」
少し残念な気もする。それでも、明日頑張れば良いだけだ。
「そうだ、みんなは?」
開かない目を擦りながら私は尋ねた。
「もう寝た。千華に美鈴を見てこいって言われたから、来てみたら美鈴が机で寝てた」
「うん…私ももう寝るから、葵くんも寝て大丈夫だよ。ありがとね」
葵くんは小さく頷いて、部屋を後にする。
それを確認した私は、まだ眠いうちにベッドに潜り込み、床に着いた。
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