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…Each seed…
~Prologue~
私がここに来てから、毎回同じような夢を見る。
それは私がほんの小さいとき、誰かに教わったこと。
「良い?どんなことがあっても、―することを忘れちゃ駄目よ」
「うん!わかった!」
あのとき、私は何と言われたのだろう。
「それからね、あの子…よく他の子を泣かせちゃうでしょ?だから、あなたからも言ってあげてね。泣かせたら謝りなさいって」
「うん!」
そして、私に微笑みかけると、あの人はどこかに行ってしまった。
あの人は誰なのか、何と言っていたのか、思い出せない。
だけど、私はあの子に言ってあげたのは覚えている。
誰かとの約束。
とても、とても簡単なことだったはずなのに…。
今の私では思い出すことができない。
あの子も、あの人も、あの言葉も…。
私は、無音の青白い世界から、雑音が響く外の世界を、ただただ…ぼんやりと眺めていた。
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